FCバルセロナはレオ・メッシがオサスナ戦でバルサのユニフォームを脱ぎ、マラドーナを偲んでニューウェールズ・オールドボーイズのユニフォームを見せた行為による同選手への警告を取り除くために申し立てを準備している。
一方で、この申し立てが認められる可能性のある理由と、同時にそれが認められない理由がある。メッシ有利に働く最も重要な前例は、まさにエスパニョールとの試合で起きていた。
それは2010年まで遡る必要があり、その主人公はホセ・カジェホンだった。同選手は同年9月、アルメリア戦でゴールを決めた後にダニエル・ハルケの顔が描かれたシャツを見せたことで処罰を受けていた。
主審のテイシェイラ・ビティエネスが罰金を科したことが公式報告書に記載されている。その金額は、規則に記載された金額2,000〜3,000ユーロ(約25万〜37万円)だった。
この金額は2015/2016シーズンの開幕に向け、レアル・ハエンに所属していたホナが乳児期の癌をなくすための戦いを支持した「Animo Pequenines」というメッセージが書かれたシャツを見せたことで起こった議論がきっかけとなり、改正された。
選手は警告を受け、2,000ユーロの最低額で罰金を科された。サッカー界で非常に大きな不満が生まれたため、その後からこのような高額な初期金額からスタートしないように「3,000ユーロまで」という表現に変更された。
カジェホンの時には、エスパニョールはこの警告を控訴審に上訴することを決意。控訴審はエスパニョールの申し立てを受け入れ「この行為(Tシャツを見せる行為)が例外であることを考慮し、政治的・宗教的なメッセージを発信する意図がないため、非難の対象にはならない」と文書の中で説明している。
また、2007年にセルヒオ・ラモスはアントニオ・プエルタを偲ぶシャツを見せたが、これも制裁を受けていない。しかし、FIFAは近年これらに関することについて断固とした姿勢を見せていることも確かである。
2014年には、アンドレス・イニエスタが南アフリカワールドカップ決勝で得点した直後にダニ・ハルケを偲んでシャツを見せるという美しい行為をした後に、規則が固められた。
最後は政治的・宗教的メッセージの禁止を主張する2017/2018シーズンのプレー規則の改正だった。生きている人や亡くなった人に関しては「もしそれらの人が競技の一員であるならば」それらを認める、としている。アスルグラナの一員であった彼の過去、ディエゴ・アルマンド・マラドーナがこの競技の代名詞だとみなされているということを知るだけで十分である。
しかし、これまで分析してきた全てのことに加え、バルセロナが有利にならない大きな事実がある。それはマテウ・ラオスの公式文書にある。
警告を受けたメッシの行為を詳しく記した文書の中に「ゴールを決めた後にユニフォームを脱ぎ、新たに1993/1994シーズンのニューウェールズの背番号10番のユニフォームを見せたことによる」と記されている。
同選手は具体的なイメージやメッセージを示したということはなく、むしろジェスチャーを表していた。この文言は競技委員会に「あらゆる種類のスローガン、広告、標語、伝説、略語、アナグラム、図面など、行為の内容や目的を問わず」と記されている条項91条の適用を義務付けることができる。
懲戒機関がどのような判断を下すのか。そして罰金について、これにはバルサの上訴が影響するだろう。すでに説明したように、規則では最大3,000ユーロの罰金となっている。
これによってわずか1ユーロの罰から、制定されている最高金額の範囲内で罰金の可能性があることになる。RFEFの懲戒法の中の経済的制裁のルールがどのようのものかを考慮すると、軽い処罰に当てはめられた場合、わずか600ユーロ(約7万5,000円)か、もしくは3,000ユーロよりも低い半分の1,500ユーロとなる可能性がある。
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